Things I Didn't Know

BTSと韓国ミュージカルが好きです。

【BTS】『BE』関連インタビューをおさらいする (1/2)

バンタンのカムバが目前に迫っているので、その前に改めて『BE』の活動を振り返って、アルバムを味わう時間を持ちたいなと思い、二つのインタビューコンテンツを見返すことにしました。

 

一つ目はWeverse Magagineのインタビューシリーズ。

聞き手は大衆文化評論家・音楽評論家であるカン・ミョンソク氏。インタビュー大好き芸人として、「インタビュアーは誰?」と気にならずにいられなかったほど、丁寧に7人の思いが引き出された記事になってます。

나무위키にはカン・ミョンソク氏について「国内のアイドルグループのコラムを最も多く、最も真剣に書くコラムニストとして知られている。」「攻撃的な雰囲気を感じたり、鋭い口調で書かれたコラムは少なく、どんな場合でも愛情を持ってコンテンツの話を理解しようと試みる方である。」との評が。話し手の感情の流れを切らすことのない自然な質問の出し方に、関連性のあるエピソードや歌詞の的確なリファレンス。手練の技…と舌を巻きました。たとえばジミンが体型の話をした時には「特に後ろ姿のボディラインが、前とちがっていますね。」と言っていて、細やかな観察力とバンタンに対する豊富な知識があることがわかります。言いよどむ部分なども含めて本人たちの言葉をそのまま伝えるスタイルを取っているようで、韓国語の原文で読んでいるとそれぞれのメンバーの声が聞こえてくるようでした。

本国での文字媒体のインタビューをもっと読みたいと思っていたので、素晴らしいWEBメディアがスタートして嬉しい限りです。こんなふうに信頼できるライターによるインタビューやレビューを掲載できるのは、オウンドメディアの大きな強みですね。

 

二つ目は公式チャンネルで公開されたインタビュー動画『BE-hind Story』。

別のメンバーが聞き手になるという新しいことをやっていて、見応えあるコンテンツ…のわりに個別フルインタビュー動画の再生回数が少ないので、もしまだ観ていないという方がいらっしゃったらぜひ。(日本語字幕付きです!)メンバー相手なので照れくささもありつつ、真剣な音楽の話がお互いの刺激になっているのがよく伝わってきます。ヒョンラインとマンネラインの掛け合わせになっているのもそれを意図したものかも。親密でリラックスした雰囲気がとても良かったので、ぜひまたやってほしい!

 

▼前半はこの3人

 

【JIMIN】

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 ユンギの指名を受け、『BE』の音楽プロジェクトマネージャーを任されたジミン。『BE-hind Story』ではPMの仕事について聞かれ、「みんながアルバム作業に積極的で、参加しようとする姿に刺激をたくさん受けて、自分も助けになりたいし一緒にいい音楽がつくりたいと思った」と話しています。自然にアルバムとたくさんの関わりを持てる環境ができたことできっと自信をもてたでしょうし、メンバーの参加度を重視した制作体制が、沈んでいた7人の雰囲気を変えたのだろうと思います。

ソロは絶対入れないようにしよう、みんなで一緒にできる何かを作ってみようと言ったんです。

メンバーたちと一緒にすることがとても楽しいので、何か作ったら、早くメンバーたちに聴かせたかったし、褒めてもらうのも嬉しくて、楽しく、やるぞという気持ちで作っていたと思います。

年末に出したソロ曲〈Chismas Love〉については、一度はリリースを諦めていたところ、クリスマス5日前にナムジュンが歌詞を送ってくれたことで意欲が湧いて、睡眠時間を削って仕上げたという話も。人の役に立ちたい、人の思いに応えたいという気持ちが強いジミンは、周りの人とたくさん関わりをもつことで良い方に進んでいくタイプなのでしょうね。

 

それから、〈Dynamite〉での表情の使い方についての部分も印象的でした。

「Dynamite」では、使ってみたことのない表情も使ってみたり、この曲に本当に集中している感じをみせたいと思ったんです。それで、センチメンタルにしてみたり、何て言ったらいいかな?ちょっとかっこつけたポーズをとったり(笑)、そんなふうにもやってみて、なんか、おどけた表情もしたり、いろいろと試しました。

見る人に苦労や努力を感じさせず、テクニックの要ることをできるのがプロですが、Dynamiteにおける7人の表情や仕草は、8年目アイドルの成熟ぶりを大いに感じさせてくれるものでした。一人ひとりに遊びのあるパートが用意されていて、パフォーマンスごとに違う顔が見られる楽しみがありますよね。何度見ても新鮮に沸けるのは理由があるのだと思ったし、とことん新しい姿を追求するジミンはやっぱりすごい。

人々が持つきれいな心があるんですが、それだけは失わないでほしいです。

インタビューの中で一番記憶に残ったのは、「ファンにテレパシーで伝えたい言葉」として話してくれたこの部分。私には想像もつかないほどの混沌の中で生きていて、人の悪意に直面することも少なくないだろうに、こんな純粋な目を持っていることに感動します。ジミンのきれいな心がずっと曇ることのない世界でありますように。

【J-HOPE】

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音楽のいいところって、僕の話したかったこととか、時には憂うつで悲しい感情も美しく表現できるところですよね。いつもはそういうことを表現しなかったんですが、一回やってみたくなりました。

 〈병 / Dis-ease〉では精神的な病というテーマを軽快な音楽で表現したホソク。以前はアイドルが自分たちの活動を‘職業’として語ることは避けられるイメージがありました。だけどバンタンは「退勤」と聞くとものすごいテンションで喜ぶし、「仕事したくない、でもやらなきゃ落ち着かないし、やっぱり楽しい」って率直な気持ちを歌にしてくれるので、まったくジャンルが違えど職業人としての共感が生まれます。

『BE-hind Story』では〈Blue & Grey〉の歌詞に使われた「灰色のサイ*1」という言葉について語るシーンもありました。

僕の職業には危ない要素もたくさんあるけれど、一寸先も見えない危険を知りながらも、背負っていかなければいけないものだから、もう怖くはない、その状況に立ち向かってみようという意味を込めました。

伝えたいことを的確に表す言葉に出会えた満足感と、そんなキーワードに出会うためにももっと勉強したいという意欲に溢れたホソクがたまらなくかっこいいです。

〈병 / Dis-ease〉で憂鬱な話を明るく表現することは「一線を越えないようにしている」ように見えると指摘するカン・ミョンソク氏。

J-HOPEという人が片方だけに偏りすぎても、人々が違和感を感じるだろうと思いました。それで、自分なりの基準に合わせて作業したんですが、僕も人間なので、言えなかった感情を音楽で表現したわけです。

とても運よく人々にも恵まれて、いい成果も上げられて、今に至っただけに、もっとたくさん自分でトライして発展していきたいなと常に思っています。これからも「現在進行形」でなければならないと思います。

ホソクはこのあと、ミックステープ『Hope World』の3周年である3月2日に〈Blue Side〉のフルバージョンを発表。もともとはミックステープのOutroとして使われていた1分半の短い曲で、作られたのは2015年頃だそう。

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ホソクは未完だった理由について「僕が音楽に盛り込むには身に余るテーマだったし、それでも『いつかは僕が自ら感じて、分かるだろう』という運命的な意識を持っていたようです」と語っています。*2 純粋に作曲していた時代の自分に癒やしを求めて、もう一度この曲に向き合うことになったと。

完成した〈Blue Side〉が、未完の〈Blue Side〉との再会をテーマにしていることは、本当に運命的に感じられます。未熟に思える昔の自分を「熱く燃え上がった僕を落ち着かせてくれる、青い安息所」と呼ぶところ、ホソクらしくてとても好きです。過去を置き去りにせずに、向き合うことで成長を証明する。それができる人だから、未来の自分自身に信頼感がもてるのだと思います。

今できなければ、後ですればいい。そしたら、気持ちが軽くなりました。それが、長く楽しく過ごせる人生計画なのではないかなとも思います。(略)今楽しめないなら、後でやってみる。その時に感じられるのは、また違うもののはずですから。

インタビューにて「線を越えることが求められる時期だ」と話していたホソクですが、この曲はまさにその一つだったのかもしれません。

【V】

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www.youtube.comホソクのインタビューにおいて聞き手になったテヒョンがとても良かったです。ホソクの古参ファンだと主張したり、たっぷりと賞賛を送り、顔を見て音楽の話ができて嬉しいと素直に好意を伝えるところ、本当に好き。

この二人といえば、2020年Festaの寄せ書きにあったお互いへのメッセージが忘れられないんです。

V⇒J-HOPE「僕はヒョンにしか話せない時があるのわかるでしょう?いつも先に聞いてくれてありがたかったし、僕たち早く会いましょう。ヒョンが'何かあった?'と手を差し伸べてくれて本当に有り難かったです。」

J−HOPE⇒V 「とても大切になってしまったテヒョンア♡ 実は最近おまえを大事に思うあまり、強すぎる感情をもつ時もある!7年間成長を見守ってきたヒョンとして、いつも笑顔になるし愛情でいっぱいだよ。近いうちにご飯食べにいこう♡」 

昨年春頃にテヒョンが沈んだ様子だったのは、多くの人が気づくところでした。きっとこの時期にホソクが助けになったのだろうと想像できるし、今テヒョンがそんなホソクに対して「連絡くれたら絶対力になるから」って意気込む姿を見ると、とても健気に思えて愛おしい。

「Blue & Grey」は、一番つらかった時に作った曲です。本当にこの仕事を続けるべきかどうかと悩んだほどの時期でした。

自分はゆっくりで、のんびりした人なのに、ぎゅうぎゅうになりすぎて壊れてしまいました。僕がいま進んでいる道の先に何があるんだろう、成功も大事かも知れないけど、幸せになるために歌手をやっているのに、どうして今、幸せじゃないんだろう。

 きっとこれが〈MAP OF THE SOUL:7〉のカムバック活動が盛んだった春頃のことなのではないかと想像しています。〈IN THE SOOP〉では「愛されている実感が欲しい」と語っていたテヒョン。忙しくてもそこにアミの歓声という対価があれば手応えを感じられるのに、それができないから意味を見失ってしまったのではないかと考えると胸が痛みます。

前にも一回、こういう問題がありました。あの時は、本当に大変だったんです。でも、この感情をずっと抱えたままやっていくわけにはいかなかったですし、この感情が何かの肥やしになれる気もしました。

曲ができたら達成感もありましたし、そうすることで「Blue & Grey」のことを少し吹っ切ることができたと思います。僕の問題を乗り越えるための方法のうち一つでしたね。

 この '前回' が解散話も浮上したと語られた2018年年始のことなのかもしれません。数年の間に音楽的な成長を図ったテヒョン。心を表現するための術を得て、再来した憂鬱を手懐けられたことを嬉しく思います。365日幸せでいてほしいと願うけど、きっとそれは難しいので、テヒョンがこの成功体験をもとに将来訪れる憂鬱とうまく付き合ってくれたらいいな。

「いま落ち込んでるよね、僕もそうなんだ、僕たち一緒だね」、「僕が今、君の気持ちを話してみようか。君は今、幸せになりたいんだよね。目まぐるしい中、何かが波のようにずっと押し寄せてきてるんだよね」といったことを伝えたかったです。

それが明るいものでなくても、テヒョンにだけ見える世界を言葉や音楽で伝えてくれることに幸せを感じます。『BE-hind Story』ではミックステープについての質問もありましたが、「書きたいテーマが浮かばない時は、作らないようにしている。何かを無理やりつくらないといけないというプレッシャーを感じたくない。」と制作をお休みしていることを話していました。音楽制作を仕事として扱うのではなく、芸術家として思うままに自己表現をしたいのでしょう。それが可能な環境でよかったと心から思います。テヒョンがじっくり時間をかけてこだわった作品がどんなものになるのかが楽しみですし、焦らずに待ちたいですね。

 

▼残り4人は後半に続きます。

ozmopolitan.hatenablog.com

*1:将来深刻な問題を引き起こす可能性が高いにもかかわらず、軽視されているリスクを意味する経済用語

*2:2021年3月2日 BANGTAN BLOGより https://btsblog.ibighit.com/409