Things I Didn't Know

ミュージカルが好き。歌とダンスと物語が好き。定期的にソウルへ行きます。

【観劇レポ】ミュージカル『タイタニック』(타이타닉)

ミュージカル『タイタニック

2017年11月10日〜2018年2月11日 シャルロッテシアター

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2018年1月8日 夜公演

▪️キャスト…ソ・ギョンス、チョ・ソンユン、チョン・ドンファ、ユン・コンジュ、イム・ヘヨン、イ・ジス、ソン・ウォングン 他

 

 

◆作品について

1997年初演、トニー賞作品賞含む5部門を受賞したブロードウェイ・ミュージカルの韓国初演。演出家はFolliesの2011年BWリバイバルなどを手掛けたEric Schaeffer。制作のODカンパニーは同時並行でこの新演出版のブロードウェイ上演を目指しているとのこと。

日本でも3度にわたって上演されていますが私は未見。ですので英語版のスクリプトや映像、韓国語歌詞を読んで予習しました。

 

◆感想

有名なハリウッド映画とはまったくの別物で、“主役”も“アンサンブル”も設けず全員をメインキャストとしたミュージカル版。キャスト一人ひとりが複数の役を演じていて、一等室客として登場したかと思えば次は船員、次は三等室客…と早変わりがすごい。フォロワーさんの唱えた「ドンファさん3人いる説」は正しい…。一人でやってるとは思えないですもん。船長や設計士に給仕、一等室のセレブ客からアメリカでの成功を夢見る三等室客、汗だくで働く火夫とさまざまな人たちが描かれ、世界の縮図のよう。まさに一つの都市です。設計士アンドリュースや火夫バレットなどの数人はダブルキャストですが、多くがワンキャストでソロナンバー・ソロパートを持っているため歌の上手い人が揃っており、声が合わさったときの迫力がすごい。美しい歌声を浴びるように聴きたい欲が満たされました。

韓国版の演出の特徴は2階まで伸びるセット。1階前方の客席がセットに囲まれるような形になるからなおさら歌声の迫力が増すのでしょうね。舞台上のセットも高く組まれていて、2階にあたる部分にオーケストラが。実際にタイタニックで沈没寸前まで演奏を続けたバンドをイメージしているのではないかと思います。セットの転換はなく、照明によって場面が切り替わるのも良い。韓国の大劇場作品といえばド派手な装置やプロジェクションが多いから新鮮味がありますね。だけど劇中一場面だけ、大きく舞台に動きが入る部分があります。敢えて説明は避けますが、一ヶ所だけだからこそものすごく強烈な印象を残すシーンになっています。基本的には動かないセットでも、この部分の演出と歌詞だけで事故の悲惨さを物語るのがすごい。舞台表現って面白いです。

 

単体で好きな曲はまず〈Lady's Maid〉。三等室の乗客たちがアメリカで叶えたい夢を口々に語るシーンです。「よりよい世の中で幸せに暮らしたい」「人間らしく生きたい」と希望でいっぱいの若者たち。「ベーカリーの社長になる」ってパンをこねこねくるくるしてみせるドンファさんがかわいいので全員注目な。

  

火夫バレットが無線室にやってきて無線通信士ブライドに彼女へのプロポーズの言葉を託す〈The Proposal / The Night Was Alive〉。バレットのメッセージを打ち込みながらブライドは「寂しい少年だった僕は電報を送るたびに遠い世界に辿り着くことができた」と語る。通信機を叩く音を人々の心臓の音にたとえて柔らかく笑うドンファさんが素敵なので全員注目な。ドンファさんはこのあと楽士として登場するのですが、客席にサービスしまくっていて完全なるアイドルでした。まともにウインク喰らってた前列の方々生きてるかな。まったく罪つくりな方ですよ。

あとは〈We'll Meet Tomorrow〉や最後まで一緒にいることを誓ったストラウス夫妻の〈Still〉も良いし、やはり設計士アンドリュースの〈Mr.Andrews' Vision〉があまりに壮絶で印象深いです。駆け落ちしたキャロラインとチャールズのカップルも好きでした。ラストでのイム・ヘヨンさん演じるキャロラインのきらきら光る大きな瞳が目に焼き付いてます。やりきれなさばかり残る悲しい事故の物語がなぜこんなに美しいと感じるんでしょうね。なんだか言葉では説明できないのですが、大きなエネルギーをもらえる作品でした。観て良かったです。