Things I Didn't Know

ミュージカルが好き。歌とダンスと物語が好き。定期的にソウルへ行きます。

【観劇レポ】韓国ミュージカル「ベンハー」1幕

※予習+前置き編はこちら

 

えー…プレビュー公演後に一度はざっくりとした1幕の感想を書いたのですが、その後いろいろと歌詞や台詞がわかってきたこともあり、改めてそちらの記事に訂正と追記をおこなうことにしました。さらに3公演を観ましたので既にプレビューレポではなくなってしまってますが…。9月16日・17日に観た公演の感想も交えつつ、あらすじを書いていきます。〈追記は赤字にて〉

 

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■ M1. 희망은 어디에/希望はどこに (ユダ、アンサンブル)
舞台はイエス・キリストが生まれてから20数年後のエルサレムユダヤ人はローマの圧政に苦しみながら、予言されている救世主の訪れを待ち望んでいます。主人公ユダ・ベン・ハー(※以下「ユダ」。ベン・ハーとは”ハー家の子”という意味なのでベンはミドルネームではないようです)は貴族として優遇されているものの、そんなユダヤ民族の姿に心を痛めています。 冒頭、ユダヤ人がヘロデに怒り、ローマに対抗し立ち上がった的なナレーションが入ります。英語で字幕が出るのですが、特殊な字体なので読むのに苦労してる間に消えます…。

 

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押し寄せるローマ軍、奴隷として苛酷な扱いを受けるユダヤ人。《希望はどこに》もかなり状況説明的な歌詞で、イエスの誕生、ヘロデがイエスを恐れて多くの新生児を殺したこと、救世主へのすがるような思いが歌われます。 
 
誰が予言したのか メシアが訪れると
ローマを追い払い 自由が来ると言った
しかしいつまで待てばならない 希望はどこにある

 
最初から映像が多用されるのですが、内幕と奥側両方に映し出されていて、立体的に見えるので迫力があります。本当に星が浮かび上がるみたいできれい! 

 

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【動画】希望はどこに/カイ、アンサンブル(ショーケースより)
 
 
■ユダとメッセラの再会
書類を受け取り、護民官を訪ねてきたユダがローマの兵士に捕らえられそうになります。ローマ軍はユダの持って来た文書を偽造だと決めつけ、護民官を殺そうとする暴徒だと逮捕しようとします。そこへ「自分が彼を呼んだ」と護民官メッセラ・セヴェラスが登場。この者は自分の友達だから、自分が彼の身分を保証する、みたいなそんな感じ。彼はユダの幼馴染みだったのでした。アンリが処刑されるところに現れるビクターのよう…激しくデジャヴ。捕らえようとした男の名前を聞いてハッとする兵士たち。ハー家はイスラエルの王族の血を引く家系で、名の通った貴族なんですよね。 
 
「君が護民官だなんて想像もできなかった」と驚くユダ。メッセラはエルサレムでユダと共に育ちましたがローマ軍に志願し(映画版では14歳の時)戦場でピラト総督のもとにつき、将校となってエルサレムに戻ってきました。「グラトゥス総督の護衛を務めるため、今朝戻った」と誇らしげに言うメッセラ。暴徒が増えているせいだと部下の無礼を謝ります。

「ユダ、君が本当に恋しかった。子供の頃の約束を覚えてるか?」とメッセラ。「そのためにここに呼んだのか?」とユダ。ちょい馬鹿にするように笑うウンテユダの様子に親しみが現れててよい…。2人は少年時代に「大人になったら一緒に戦車競技に出よう」と約束していたのでした。ここ「戦車競技に出よう~ウワ~!」みたいな感じでキャッピキャピしてて、すごいかわいいんですよ…。特にカイ・ウヒョクペアの子供のようなはしゃぎ方!メッセラはローマが建設している競技場を誇らしげに見上げるのですが、ユダの目には工事のための重労働に苦しむユダヤ人の姿が写ります。 
 
 
■ M2. 죽음의 질주 Reprise/死の疾走<リプライズ> (ユダ、メッセラ)
深刻な顔になってしまったユダに「久しぶりに会ったんじゃないか」と話を変えるメッセラ。母さんやティルザは元気か?と明るく訊ねます。「君がローマの将校になるなんて」というユダに
「下級兵士の息子が将校になるには、一人でも多く殺さなければ」と無邪気に答えるメッセラ。ユダの顔が曇る。しかし、そこでメッセラから剣術の手合わせをしようという提案が。

 

ここで《死の疾走(Reprise)》。先にリプライズってなんか不思議ですよね。《死の疾走》や《私はメッセラ》は1幕で先にリプライズが歌われたり、メロディが流れたりします。イ・ソンジュンさんの曲って、聴けば聴くほどハマるタイプのメロディが多いので、先に何度か聴かせて観客の耳を慣らせておくの、良い方法ですよね。いざ2幕で聴くと「来たー!!」ってなる…っていう気がする。(そもそも私はショーケース映像で先に聴き込んでいるので初めて聴いたわけではないのですが…) 

 

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メッセラ「頼みがある」ユダ「久しぶりに会った友の頼みなら断る理由がない」。メッセラは明日新しい総督の行進があり、滞りなく成功させるためにユダヤ人の中の反ローマ分子を密告して欲しいと告げます。しかしユダは、民族は皆兄弟であり裏切ることはできないと拒否。戯れに剣を合わせ始めた2人が、密告の件が出てからどんどん熱を帯びてきて、最後はメッセラがユダの喉元に剣をつきつけます。メッセラはグラトゥスの行軍を滞りなく成功させることが自分の重大な任務であり、それを成し遂げてこそ自分は認められるのだと主張します。

 

これは想像ですが、少年時代は圧倒的にユダが強かったんじゃないでしょうか。互角に戦える力をつけて帰ってきたメッセラ、って感じですよね。良い…。剣を合わせる前に「ユダはエルサレムで一番剣術が上手かった」という話をしているのでやはりそういうことだったようです。私は「対決デュエット」が大好きなんで、この曲のように1曲の中で空気が完全に変わってしまうの、ほんとぞくぞくします。しかも殺陣をしながら歌うって、すごく難しいことだと思います。開演のインタビューで皆「アクションシーンが死ぬほど大変」って言ってたので、辛い練習お疲れさまですかっこいいです最高ですありがとうございます…って心の中で拝みました。 
 
空気を変えようと「うちで食事しないか?母さんも会いたがってる」とユダ。「ローマにつくのか、ユダヤにつくのか」とメッセラの顔は神妙。まだまだ台詞がわからない部分はありますが、映画だとメッセラはユダヤ民族の未来のためにも彼らはローマに従うのが最善だと思っているので、他のローマ人のようにただユダヤ民族を蔑み服従させようとしているわけではないんですよね。メッセラは暴徒を鎮圧することでエルサレムに平和が訪れ、シーザーの栄光が保証されるのだと主張。やはり映画と同じように彼なりにエルサレムを思ってのことだったのだと思います。

そんなメッセラに「明日の晩餐に遅れるなよ」と言い残してユダは去って行きます。切ないフラグ立てるのやめて…!しかし、こういうところにユダの善良さが現れていて、皆から慕われる人物なんだろうなーと思わせますね。


■ ハー家の屋上
屋上から道を眺める下女エスターのところにユダがやってきます。「ご主人様は何をしに来られたんですか?」と聞かれ、慌てて「星を見に来た」と言うユダ。エスターに会いに来たのは明らかで、ちょっとわたわたしてるユダがかわいい。好きなのね!映画みたいなドラマチックな恋愛関係ではなく、ほのかな恋心って感じがすごく良いです。個人的に、エスターの方が年上だったらより萌えるなぁ。星見に来るとか似合わないって笑われてるし、妹にも「バカ兄」とか言われてるし、ユダは一家の中でいじられキャラっぽいですよね。

「星のどこかに私の人生があると信じている」とユダ。 「だけど今日は星は見えないね」というのが後のシーンにつながる台詞に…。

 

ユダは急に思いついたようにエスターに「君に自由をあげようと思っている」と提案します。しかし「身体が自由になっても、この国自体がローマの奴隷なのだから意味がない」とそれを断るエスターエスターが好きだから喜んで貰いたくて言ってるのに、断られるなんて考えてもなかったという様子のユダ。「なんで?自由イヤなの?」みたいなとこ、カイユダやジュンサンユダは本気で慌ててるんですけど、ウンテユダは冗談ぽく言ってて完全空気読めない天然ちゃんて感じだった。ちょっと気まずい空気になって、慌てて行ってしまうエスター。「おやすみ、エスター」って台詞のとこ、ジュンサンユダは「おや…もう行ったの!?」って最後まで言えてなかったのとてもかわいかった。好きな子に振り回されてる感…。ユダ愛すべき男。ウンテユダは投げキッスつき。天然&お調子者なウンテユダのキャラクターとてもかわいい。如何に恵まれて育ったかがわかる、明るい人物ですね。
そしてエスターが去ったあとに「今夜見たかった星はお前だったのかな…」とつぶやいて、パチンと自分の頬を叩くのがかわいい。



■ M3. 가문의 축복 / 家門の祝福 (ユダ、ミリアム、ティルザ、シモニデス、エスター、ティト)
次のシーンは翌日の昼。家臣のシモニデスが何年かぶりに戻ってきます。映画だと確か外国で長いこと行商してたんですよね。(エジプトとモロッコを開拓して大成功してきたようです。我が家門の繁栄はお前のおかげだとユダの母・ミリアムは讃えます)

シモニデスは娘エスターに長く留守にしたことを謝り、ユダ、ミリアム、妹ティルザ、少年ティトとともに食卓を囲みます。家門に永遠に幸せが続きますように、という歌詞。ティトは、ローマ軍が押し寄せてきたところをユダに助けられたこと、ミリアムは亡くなった主人を懐かしく思い出しながら歌います。ユダの父はユダヤの独立のために奮闘し、常に国のことを考えていた人物だったということが語られます。
 
ティトは『どん底』にも出てたイ・ユヌくんとイ・ジフンくん。ユヌくんは本当に色んな作品で見かけますね。このティトがミュージカルオリジナルのキャラクターなのですが、どういう子なのかよくわかりません。シモニデスの息子だと思ったんですが、後に「シモニデス様」って言ってるので違うのかなぁ…?というか、わざわざ子役を出す必要があったのかどうか疑問…。ほんとに最初だけだしなぁ。
 
 
■ グラトゥス総督の行進~ユダ逮捕
ローマ軍が行進する音が聞こえてきます。グラトゥス総督を観に行こう!とはしゃぐティルザ。ティト、エスターと共に屋上へ向かいます。ユダはミリアムに、前日にメッセラを再会したことを告げます。この辺りもよくわからないですが、ローマの軍人として戻ってきたメッセラに対しミリアムは顔をしかめます。というか、メッセラは養子としてこの家で育ったんですよね…?恐らくそういう設定だと思うんですが…。なのに、そんなに他人事のようになるものなのかなぁ。もしそうだったら本当に冷たかったのではないかなと思っちゃいますね。2016年版映画も同じ設定だっただけに。このへんは追々確認しなきゃいけないところ。

ミリアムはメッセラの名前を聞くと「主人があなたに友達ができたと喜んでいたわね」とにこやかに話しますが、メッセラがローマの将校になり、暴徒の話をしていたという言葉を聞いた途端態度が変わります。「彼らは暴徒だけど誰かに立ち向かっているのよ」というミリアムに、自分はただ平和が良いと言うユダ。ミリアムは「ユダヤのために何ができるかを考えるべきだ」と嗜めます。ユダが心優しく平和主義で、貴族という恵まれた立場で安穏と暮らしていることが強調されるシーンですね。結局メッセラがこの家族の中でどのような立ち位置だったのかは、いまいちわからないまま…。

 

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 そこへ、何かが割れるような音が聞こえてきます。ティルザが誤って瓦を落としてしまい、それがグラトゥスの頭に直撃したのです。屋敷内に押し寄せてくるローマ軍。妹をかばったユダが捕らえられます。メッセラの姿を見て安心したように「メッセラ、故意ではなかったんだ、信じてくれ」と縋りますが、メッセラは「反逆罪は家門全体の責任を問う。抵抗すれば殺しても良い。」と言い放ちます。兵士の槍を奪い、メッセラに突きつけるユダに、「殺せ、これが最後のチャンスになる」とメッセラ。観念し、槍を下ろすユダ。「友よ、家族の命だけは助けてくれ、お願いだ」というユダの言葉に、メッセラは「約束する」と静かに言います。
全員が連行された後、間一髪で身を潜めていたシモニデスとティトが姿を現します。 

 

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この場面、ミンソンメッセラは固い表情でユダの訴えを撥ねつけ、ウヒョクメッセラは「反逆罪は~」の台詞を“守るべきローマの規則”として自分自身に言い聞かせるように言っていて、表情には葛藤が現れています。映画ではメッセラが既にユダに憎しみを抱いていて故意に事故であることを隠した流れになっていましたが、ミュージカル版では立場上、そのように処置することしかできなかったのではないかと思わせる演出です。実際、映画では落馬して怪我しただけだったグラトゥスがミュージカル版では死亡しており、故意ではなかったとしても捕らえられてしまうのは仕方ないのではないかという気も。この部分、「瓦がグラトゥスの頭に落ちた」と言ってはいるのですが、後のシーンでユダが「暗殺しようとした」と言われていることから結局総督は死んでなかったのではないかと推察されます。そのあたりは明確にはされていないようです。

メッセラも本当はこんなことしたくはなかったのではないかと思います。そう思うと、ユダに槍を突きつけられた時の「殺せ」という台詞も辛い…。もしこの事件が起こらなかったら、メッセラはハー家の晩餐に訪れてたんでしょうか…。9月17日・18日の公演ではウヒョクメッセラは、ユダが連行されたのを見送り踵を返すところでポロリと一粒の涙を零していました。表情はとても固いまま。つらい…。


メッセラは、意図したことではなかったにしろ、友達とその家族を地獄のような状況に追い込む張本人となってしまったことで、このあと転げ落ちるように心を鬼にしていったのではないかと想像しました。罪悪感を払拭し、自分の行動を正当化するためにも、ローマにすべてを捧げるしかなかったんじゃないかと。詳しくは2幕の部分で書いていくつもりですが、メッセラのユダヤに対する思いはまさに愛憎入り交じるもので、少なからず思い入れのある地だからこそ、自分の思い通りにならないことに憤りを感じるようになったのではないかと思います。

 
■ ナザレにて
ガレー船に連行される途中、水を与えられず倒れこんだユダに長髪の男が近付き、水袋を手渡します。しかしすぐに兵士に取り上げられ、ユダはまた歩き出します。
 
 
ガレー船
3年後、ユダはクイントス・アリウス司令官の指揮するガレー船に乗っています。セットで船の内部が組まれ、重なるように内幕に船尾と海の映像が映し出されています。クイントスはユダが1年も保たない者の多いガレー船で3年生き抜いてきたことに感心し、怒りが込められた目を気に入って名前を聞きます。自分は剣闘士を育てるのが趣味だから、お前も剣闘士になって自由を得たくないか?みたいな。ローマ人を楽しませるために命を捧げたくはないと断るユダ。「その怒りはローマへの怒りなのか?」と問うクイントスに「守るべき者を守れなかった自分自身への怒りだ」と答えます。 
 

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そこへ海賊船が近付き、戦闘になります。映画と同じく、クイントスに気に入られたユダのみ鎖がかけられておらず、ユダは奴隷の鎖を解いて逃げ出します。ユダは海に飛込み、溺れるクイントスを救出します。このあたりの映像、前方で観ると本当に海の中にいるようでテーマパークの3Dアトラクションみたいな迫力があります。普段、舞台における映像演出が好きな方ではないんですが、この作品は映像がなければ成り立たないと思います。日本版フランケンのあと、東宝がベンハーにも興味を示しているという話もありましたが、万が一また簡易版セットでやるとすれば、このあたりがかなりネックになるのでは…。(あとアンサンブルも)
 
 
■ M4. 당신의 은총을 / あなたの恩寵を (クイントス、ユダ)
ユダと救出したクイントスは夜空の下で漂流しています。ユダは「星を見たのは久しぶりだ…」とつぶやきます。事件前日には見えなかった星。祈りや希望を象徴するものとして出て来ます。ユダはここでやっと、エルサレムに戻るためのチャンスを掴むんですね。ユダはクイントスに水を飲ませます。その水袋、一体どこに持ってた…?って感じなのですが。これはナザレで受けた施しを、ユダ自身が誰かに返したことで、ユダに大きな恵みが訪れたということなのでしょうね。 

 

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この曲は、とりあえずざくっと「心を平和にしてくれる星の光」「神よ、私の命の恩人に恵みを」みたいな感じしかキャッチできなかったので歌詞要確認なのですが、正直ちょっと長かったなって…。ていうのもクイントスの方が韓国ミュージカルでは珍しいくらい歌が微妙で…。1曲丸ごと歌わなくてもいいのではと思ってしまいました。メロディはすごく良いだけに。別キャストで観たら印象変わるかもしれません。 9月17日にようやく別キャストで観れました。メロディの美しさがしっかり入っていてユダとのハーモニーも良かったです。もう一人の方、演技は結構好きなんですけどね…。この曲、歌詞を知ると、メインテーマに関わる大事なシーンだということがわかります。

 

 敵も味方もない ただ祈りだけが

身分も階級もなく 切実な願いだけがある

神よ 私に恩寵を与えてくだされば 

悔しい思いをするこの者の力になりましょう 

 

敵・味方、身分・階級の隔たりなく手を差し伸べるユダだからこそ、生き残り冨と名声を得る道を与えられたわけですよね。でもそのことにユダ自身が気付くのは、物語のラストだったんじゃないかと思います。


ユダは遠くに船を発見します。クイントスは、きっと海賊船だから自分を殺せとユダに迫り、自害しようとするのですが(海賊船だったら自分を助けたお前まで殺されてしまうから、先に自分を殺して英雄として命を助けてもらえ、ということを言ってるようなのですが、それにしても船が敵か味方かわからないうちに死のうとするの早まりすぎではないかと)結局近付いて来たのはローマの船で、2人は救助されたのでした。この時ユダは心から嬉しそうな顔をしてます。勿論生き延びたことが嬉しいのでしょうが、クイントスに心を許していることが見て取れます。漂流前のやりとりにもあったように、前半のユダには映画版のようなローマそのものへの怒りや復讐心はあまり感じられず、ただ家族のもとに帰るために生きていたのではないかと思います。
 
 
■ M5. 로마승전 행군 / ローマ勝利の行軍 〜 シーザー謁見
ローマ軍に扮するアンサンブルのフラッグパフォーマンスシーン。この作品はアンサンブルが大活躍。ここもショーとして楽しめるし、何より音楽がかっこいいです!

 

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シーザーに謁見するクイントスとユダ。ユダはローマ人だが自分の命を救ってくれたので、養子にして財産相続させたいと申し出るクイントス。シーザーは剣闘で勝つことを条件として提示します。 ここ、側近が大げさな喋り方と身振りでいちいちシーザーの言葉を伝えるというとこなのですが、確かに実際こういう形だったのかもしれないけどまどろっこしいしテンポが悪いからやめて欲しい。さっきの漂流シーン然り、ここはもう少し短縮できたのでは…というところが結構あって、その分大事なシーンを掘り下げるのに時間を使って欲しいなと思います。
 
 
■地下牢
地下牢にミリアムとティルザの様子を伺いに来たメッセラ。案内人は「まだ生きてるはず」と地下牢を開けますが、中からミリアムの「汚れています」という声がします。2人はハンセン病に侵されており、患者は感染を避けるために他人が近付くと「汚れています」と言わなければいけないという決まりがあるのです。 2人を牢から出し、上には死んだと報告するように命じるメッセラ。案内人は驚きながらも「ハンセン病患者の谷に着くまでに死ぬだろう」と言い2人を釈放します。「友達と約束したんだ」と呟くメッセラ。2人が出て来た時、顔を隠すようにしたウヒョクメッセラには罪悪感が見てとれました。メッセラ自身も伝染病で母親を亡くしていることを思うと、2人への同情は本物なのだろうなと切ない気持ちになります。
 
 
■闘技場
剣闘の決勝に向かう準備をするユダ。闘いは激しく、死者が運ばれています。もう血を見ても何も感じない、自分がローマ人になっていくようだと葛藤しながらも、勝ったらエルサレムに戻らせて欲しいとクイントスに伝え、ユダは剣闘に臨みます。闘いの末に、ユダの剣が相手の首元を捉えますが、ユダは躊躇し相手を殺せずにいます。シーザーと観客に煽られ、襲いかかろうとした相手に遂にとどめを刺したユダは泣き叫びます。

最初に観た時はわからなかったのですが、あとで教えていただいてこのシーンの冒頭でクイントスが「君の家族が死亡したと報告を受けた」とユダに伝えているということがわかりました。「一体どこで家族の死を知ったのだろう?」とは思ってたんですけど、なぜこのシーンだとは思わなかったかというと、その報告を受けてもユダは表情を変えず、淡々としているからなんですよね。「これで君がエルサレムに戻る理由はなくなった。嫌なら決勝に出るのをやめてもいいんだぞ」とクインとスは言うのですが、「勝って自由の身になり、我が家門の汚名を晴らしたい」と言ってユダは決勝に向かいます。最後の叫びは、人を殺してローマ人のようになってしまったことへの哀しさだけではなく、家族を失った嘆きだったことを知ると、再観劇の時はこのシーンがとても響きました。

 

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映画でもローマで色んな競技に参加したと語るシーンがありましたが、実際にそのシーンは出て来ませんでした。善良なユダが生きるために手を汚し、少しずつ闘争心を身につけていく過程を描いたのはとても良い脚色だなと思います。後のエルサレムへの帰還は、ただ肉体的な苦しみだけではなく、精神的にも苦しみ抜いたうえでようやく掴んだものなんですよね。映画では、ローマ人としての地位を与えられ、財産を得たことに対するユダの葛藤は描かれていなくて、疑問の残る部分でした。だけどミュージカル版では、それが家族のための唯一の道だったことを説明されているので、納得がいきます。
 
 
■ M6. 시저 만세 / シーザー万歳 (ピラト、アンサンブル)
ピラト登場!カラフルな髪と髭を身につけた大臣たちと歌い踊ります。現代的でアイドルみたいな振り付け!歌詞は「世界の歴史は我らが書いた、すべての道はローマに通ず」みたいな。他はよくわかりませんが大した内容は無さそう。(歌詞判明した結果、大した内容は無かった)耳にめっちゃ残るし曲としては良いと思うんだけど、ここもそんな長くなくていいだろ…と思ってます。
 
ピラトのもとに、クイントスとその息子となったユダがやってきます。なんで会いに来るのかはわからない。(※エルサレムを統治するピラトに、ハー家の汚名を晴らして欲しいと頼みに来たようです)とりあえず、ユダの身の上話みたいになった時にメッセラの話題が出て、ユダはメッセラとは本当の兄弟のように育ったと言います。ピラトはメッセラが昇進したことを告げ「君の家門を利用して出世の手段としたんだな」と言います。「出世の手段…」とつぶやくユダ。ウヒョクメッセラ、ミンソンメッセラを見ているときっとあれは仕方のないことだったと思うのに、このピラトの言葉によってユダの中に誤解が生まれるんですね…。


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■ M7. 나 메셀라 Reprise/私はメッセラ<リプライズ> (メッセラ)
ユダたちが去った後、潜んでいたメッセラが姿を現します。メッセラはユダがローマ人として地位を得たことをここで知るのです。「友達が敵同士になったのだな」とまた煽るピラト。
 
ピラトはメッセラと出会った時のことを思い出し、「あの時はあんなに臆病者だったのに」と笑います。「あの時は臆病者でした…」と独り言のように言うメッセラ。ここでまた先にメインナンバーのリプライズが。メッセラがどんな思いで努力し、今の地位までのし上がったかは2幕で描かれるのですが、一度はどん底に落ちたはずだったユダが楽々と(のように見えるんでしょう)ここまで来たのは、メッセラにとってさぞプライドを傷つけられることだったろうと思います。

 

一見仲の良さそうだったクィントスに対し苦言を口にしていたピラト。(←曖昧。そうらしいと聞いた)メッセラは刺客に金を渡し、何かを命じます。ここ他の方からぼんやりと聞いていた部分だったのですが、少し違っていたようです。特にピラトが何かを示唆したわけではなく、メッセラが独自に動いたものだそう。ピラトは「君がしたことは私は知らないからな」と言ってるので、メッセラがユダとクインとスに対して何らかの動きを見せるだろうことは感づいていたんでしょうけど。
 
 
■ M8. 그리운 땅 / 懐かしい地 (エスター
奴隷市場に並ばされ、ローマ人に物色されるエスターたち。エスターは遠い故郷を渇望します。
 
今日も 赤い軍隊が
私たちを引き裂いても 私たちを嘲笑っても
私は歌おう 遥かな地 そこの歌を
私たちの神が蔑まれても 私は歌おう

 
 この曲、全編で1、2位を争うくらい好きです。アイビーさんが本当に上手くて、痛みや怒りがビリビリ伝わって来ました。アイビーエスターは一見やわらかくて壊れてしまいそうな雰囲気なのに、この歌を通して芯の強さが伺えて、そりゃユダが惚れ込むだけあるよなと。アイビーさん、こんなに上手い方だったんだなぁ…。ずっと聴いていたい歌声だ!完全にファンになってしまいました。シハさんも大好きなので、来月シハエスターを観るのが楽しみです!

 

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【動画】懐かしい土地/アイビー(ショーケースより)
 
奴隷市場に無理矢理連れて来られたユダ。そこにエスターが並んでいるのを発見します。「この女性はこんなところにいるような人じゃありません」とエスターを連れ出そうとするユダ。ローマ人の若者は、ユダがクィントスの息子であることに気づき、「クイントスをどうやって誘ったんだ」と何やらユダヤを愚弄するようなこと言います。ローマ人青年たちはかなり下劣な表現でクイントスとユダを嘲笑します。そこへ密かにユダヤ人たちが現れ、奴隷を解放。騒ぎに乗じてエスターは逃げ出します。


 
カタコンベ(地下墓地)
エスターを追って辿り着いた洞窟のような場所。「裏切り者!」と青年がユダの首元にナイフを突きつけます。それは、成長したティトでした。ティトは事件のあった日に間一髪で難を逃れ、連行されたエスターを追ってシモニデスとともにローマまで来ていたようです(多分…細かい事情はわかりません)確か映画だとこの時点でユダ逮捕から5年くらい経ってたはずだけど、それにしても成長しすぎでは。
 
ティトは、ローマの服を着たユダに「まるでローマ人に見える」と、自分たちが苦労している間にローマで裕福な暮らしをしていることを詰ります。待ち望んだメシアは未だ訪れず、ハー家に残された財産を元手にローマに立ち向かうため、密かに勢力を拡大してきたようです。 
 
 
■ M9. 카타콤의 빛 / カタコンベの光 (ユダ、エスター
去って行ったティトの代わりに詫びるエスター。そこへ蝋燭を持った人々が現れます。「驚くことはない。祈りを捧げに来たんだ」とユダ。ユダはここが地下墓所なのだと説明します。このあたりもまだ詳しく台詞を確認できていませんが、ローマ人にも信仰心があり、自分たちと同じように祈りを捧げる人がいるのだと、エスターがユダに教えられる場面ということだと思います。※ここちょっと曖昧なので台詞わかるまで置いておきます。墓地なのでローマ軍も手を出すことができず、当時ローマに大勢いたユダヤ人たちがローマ人から隠れるための場所になっていたというところまではわかりました。
 
光も空気もないけれど 平和と安息がある
カタコンベ 蝋燭の火が私たちを守ってくれる
世界の下にあるけれど 世界には与えることのできない
自由が私たちのそばにある

 
この《カタコンベの光》が美しいメロディで、蝋燭の光に重なるように星空が出るのもすごく良いんですよね…。光も空気もない場所だけど、人々の祈りが希望=星になるという演出なのかな。

 

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【動画】カタコンベの光/パク・ウンテ、アン・シハ(ショーケースより)
 
 
■ M10. 당신의 은총을 Reprise / あなたの恩寵を<リプライズ> 
なんだかよく分からないけど、ティトたちと合流し、帰宅するユダ。屋敷からクイントスが出て来ますが、負傷しておりユダの前に倒れこみます。クイントスは刺客に襲われたのでした。
 
刺客の一人を捉えたユダは、誰の差し金かと詰問します。刺客からはメッセラの名前が。「もう一度言え!誰だと…?メッセラが?なぜ…」と動揺するユダ。この辺りから、やはりそれまでのユダはメッセラをどこかでまだ信じようとしていたのではないかと思います。一度は話し合いをと思っていたのかもしれません。しかし、この事件によってピラトの「ハー家を出世の手段にした」という言葉も確信に変わり、はっきりとした復讐心が生まれてしまったのではないかと…。 メッセラが何の目的があってクイントスを襲撃したのかはわかりません。その標的がクイントスだったのか、それともたまたま留守にしていたユダを狙ったものだったのかも。

 
刺客の剣に倒れたクイントスは「きっとお前の運命には意味がある」と伝え、やがて力つきます。この場面、歌はないにも関わらず《あなたの恩恵を(リプライズ)》と曲目が入っている部分です。
漂流のシーンで歌われたこの歌詞を思うと、クイントスがユダのどんな姿を望んでいるかがわかる気がするのですが、ユダがそれを理解するのはあとの話で、これをきっかけに復讐の道へ進んでしまうのが哀しいところですね。最期の言葉は「久しぶりだ…お前と星を見るのは」。

 

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■ M11. 운명 / 運命 (ユダ)
ユダは星になった父を丁重に埋葬するようにと告げ、ティトたちと共にローマに立ち向かうことを決意します。「エルサレムに行こう」。ローマの服を脱ぎ捨て、再びユダヤの服に身を包むユダ。 エルサレムに戻り、シモニデスに差し出された短剣を受け取ります。この「復讐の刃」を手にすることでもう後には戻れないことをわかっているからこそ、容易く手に取れないウンテユダの"間"にすごく緊張感がありました。そしてそれをつらそうな表情で見守るエスター

 
今 私にお話しください このような試練と苦しみ
このような富と名誉まで 一緒にくださった理由を
 
今 教えてください 私が生きてきた理由
すべてを失っても 手足は縛られたまま
悲鳴を上げたあの日の痛みが あなたの意志なのですか
これが運命 生きている理由
 
復讐の刃を掲げよ 今 私がお前の罪を審判する

 

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【動画】運命/ユ・ジュンサン、パク・ウンテ、カイ(ショーケースより)
 
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2幕に続きます!