Things I Didn't Know

BTSと韓国ミュージカルが好きです。

【BTS】『LOVE YOURSELF』シリーズとコンサートの話

昨年11月にスタートしたBTSの『LOVE YOURSELF』ツアーの日本公演が終了しました!

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私は東京、大坂、名古屋、福岡と一公演ずつ参加することができて、本当に、本当に、幸せな時間が過ごせました。BTSありがとう。全スタッフありがとう。一緒に入ってくれた人たち、ありがとう。チケット取れるように祈ってくれた友達、「楽しんで」って声かけてくれたフォロワーさん…って受賞スピーチの如く感謝を述べたい気分。

古参ARMYのお友達と入らせてもらって、ひたすら泣いてた東京初日も楽しかった。テテファンの妹1と入って、肩の力を抜いて楽しんだ大阪2日目も幸せだった。名古屋2日目は花道が近くてホソクファンの妹2と発狂した。福岡1日目は、職場のジミンファンと全力で楽しんだ感動的な公演だった。あと名古屋グルメと博多グルメも美味しかったです。

ここで一度ひと区切りということで、『LOVE YOURSELF』シリーズと最近のBTSについて思っていることを吐き出すことにしました。

 ▼BTSにはまった経緯についてはこの記事で話してます。

 
◆ 音楽番組キャンセルの件について今思うこと

コンサートのことを話す前に、昨年ジミンが着用したTシャツを理由としてBTSの音楽番組出演がキャンセルされた件について、私が考えたことを書いておきたいので、長くなりますが聞いてください。

あの時に感じた絶望感は今もずっと続いてます。「着用した理由が不明だから」といって出演を中止させた番組。そのことに関して一方に偏った意見ばかりを報道したメディア。便乗してデマや言いがかりを垂れ流し続ける人たち。「これは叩くべきものだ」という空気が一気に醸成される恐ろしさも思い知りました。ただ写真がプリントされているという一点だけで白か黒かを決められるような単純な話ではないのに、自分の頭で考えもせずにその空気に飲まれていく人がどれほど多かったことか。

BTSに関するニュースは、良いことも悪いことも、私のエンタメ摂取人生の中で他に比べられるものがないほど規模が大きいです。物心がついた時からおたくである私でも「ここまで一つのものにのめり込んだことはなかった」と思うほどBTSのことが大好きになってしまったので、そのぶん一連の出来事がもたらした精神的なダメージは大きかったのでした。

BTSが好きで、彼らの活動を支持しているということは私のアイデンティティに大きく関わることです。それはBTSが「銃弾のように向けられる偏見や抑圧から、自分たちの音楽を守り抜く」というコンセプトで表現し、暴力撤廃を訴える活動をしているグループだからです。

BTSがこの世界に存在する事実を思うだけで、私は色んなストレスが和らぎます。BTSにお金と時間を使うことそのものが癒やしです。私が見たいと思う世界、それよりもっと先の世界を見せてくれる人たちだから、お金を使って活動を支援することで自分もその世界の一部になれたような気がします。社会に対して何かできたような気持ちになります。だけど別に無条件に彼らを崇めているわけじゃありません。私がBTSを信頼しているのは、対話をしてくれる人たちだからです。彼らのプロデューサーであるパン・シヒョク氏は、BTSが目指すものとして“水平的なリーダー”という言葉を使いました。すべてにおいて完璧な思想を持つ人がいるだなんて思いません。議論を重ねながら価値観を更新して、前に進んでいけることが大切だと考えているし、BTSはそれができる人たちだと感じています。


Tシャツのことを知った時、この件はそれなりに議論されるべきことだと思いました。デザイナーはただ歴史を表現したものだと弁明していたけれど、デザイン全体としてはポジティブなメッセージを表現しているだけに、そこに配置された原爆の写真に対して肯定的な見方をしてしまう人が少なからずいると思うからです。(「否定的な文脈でのみ使われるべき」とまでは思わない)それぞれの持つ歴史認識や文化、その違いによってデザインの見方が変わることを、世界を股にかけるグループとして学んで欲しいし、より慎重になって欲しい。だけどそのことはファンダム内で議論がおこった時点で十分だと考えていました。

この一件は必要以上に過剰に報道されました。嫌韓界隈によって日本と韓国の対立を煽るための道具にされてしまったと感じます。その危険性をメディアはわかっているんでしょうか。批判の目的は暴力の否定であるはずなのに、むしろそのことが差別と暴力を助長しているように思います。この一件に対する建設的な意見が主要メディアからほとんど発信されなかったことは本当に残念。

事務所はとても誠実な対応をおこなったと思います。フィードバックに時間がかかったことでかなりやきもきしましたが、先に当事者へ謝罪をおこなって、その報告を含めた声明を出したのはさすがだと思いました。形だけの謝罪をしないところが信頼できます。だけどこの声明についても、まともに詳細が報道されなかったことも不満です。この問題に関心を持ったのであれば、全文を読むべきだと思います。

最近、BTSに提起された問題に対するBig Hit Entertainmentの立場(日本オフィシャルサイトより)


私が学校で学んだ「戦争」の知識には偏りがあったと、最近よく考えます。小学生の頃に教えられたことといえば原爆や空襲の恐ろしさなど、日本が受けた被害に重きがおかれていて、「日本がなぜ戦争へと進んでいったのか」「他の国にどんな加害を加えたのか」、ということを理解したのは随分あとになってからだったような気がします。というか、今でも知らないことばかり。そのために被害者意識ばかりが強くなって、過去への反省を忘れてしまったことが、今の差別問題に直結していると思います。

BTS反日であり、原爆を称賛している」。そんなふうに片付けてしまうのは簡単です。だけど実際はそうじゃない。BTSは暴力撲滅を訴える活動をおこなっているし、ジミンは日本語を勉強することにも熱心で、日本文化に親しみ、数少ない休暇を使ってプライベートで日本旅行をするような人です。デザイナーやこの服を贈ったファンはおろか、事務所も、日本に親しむジミンも、あのデザインによって誰かが傷つく可能性を考慮することができなかった。それがなぜなのかを歴史的背景をふまえて考えなければ、何の意味もありません。とにかくまずは自分が勉強しなければいけないと強く感じたし、日韓近代史の本を手に取るきっかけになったのは私にとって良いことだったと思ってます。

自分ではうまく言葉にできないのがもどかしいので、私が共感した記事も紹介しておきます。


お互いを知りたい、理解したいと思うきっかけになるのはいつも文化交流で、今その筆頭にいるのがBTSです。それを断ち切るのは、むしろ解決への道を逆行しているんじゃないでしょうか。

私は昨年末以来、地上波の番組に対する嫌悪感がひどくなってしまい、最近ついに家のテレビで地上波が映らないように設定してしまいました。ただ、今希望になるのは、若い世代がみんなインターネットを介して海外の文化に触れていることです。私は以前、少女時代のことも応援していたので、2012年に日本のテレビ業界がおこなった『韓流締め出し』がどういうものだったかは、よく覚えています。いわゆる『韓流第2世代』と言われた時代は、一般的にはそこで終わったように見えたかもしれませんが、そこで韓国エンタメの魅力を知った人たちはずっとインターネットを介して韓国文化にアクセスしてきました。『韓流第3世代』と言われるBTSは、そもそもテレビを通して人気を得たわけじゃありません。テレビに出なくても多くの人が彼らの音楽に出会えるし、CDも売れます。どんなに必死で嫌悪感情を煽ろうとも、インターネットを通してBTSを見つけて、日々彼らの言葉にリアルタイムでふれている人たちを、テレビがコントロールすることはもうできません。

というか、テレビに依存しない世代だからこそ、BTSのような「自分の音楽を守り抜く」ことができるアイドルグループが生まれたのかも。本当にBTSの存在は私にとって希望そのものです。


◆ 騒動の渦中にはじまった日本ツアー

長くなってしまいましたが、コンサートのお話にいきますね。

2018年8月にソウルから始まり、北米、欧州、アジアへと続いた『LOVE YOURSELF』ツアー。日本でスタートしたのは11月13日。例の音楽番組への出演キャンセルが伝えられた数日後でした。まだ事務所からも本人からも何の反応もなく、事態に対する不安と公演への期待が入り混じった緊張感のある雰囲気。VCRがスタートしてから始めの数曲くらいまで、7人が東京に来て公演してくれることの感謝でいっぱいになって何がなんだか見えてないし覚えてないくらい泣いてしまいました。

とにかく、このタイミングでコンサートがあって本当に良かったと思いました。変わらず支持するという日本のファンの思いが直接伝わったような気がしたし、堅かった雰囲気が終盤に向けてほぐれていったのを感じました。

MCでジミンは全世界のファンに心配をかけていることを謝り、テテは「日本のファンが世界中のファンとつながっているところを見ました」とコメント。これはおそらく前日から世界中のファンが旧作アルバムの中の『2! 3!』というファンソングのiTunes順位をあげて、BTSへの支持を表明しようとしたプロジェクト『#ProjectBuy23』のこと。実際にこの旧譜が各国のリアルタイムチャートでトップ10内に急浮上していて、それが届いていたことも嬉しかった。

特にナムジュンとユンギは、明るい振る舞いの裏に緊張と警戒心があるのが伝わってきたし、とても大きな重圧を感じているように思えましたが、とにかくみんなその日そこにいるファンを楽しませるために全力を尽くそうという気合いの入った公演だったと思います。

Euphoria》で「砂の地面が割れても 誰かがこの世界を揺さぶっても 握った手は絶対に離さないで」という歌詞を強い感情を込めて歌うジョングクには涙したし、《So What》で「Somebody call me right one Somebody call me wrong 僕は気にしない 君もそうしたらどう?」と歌うジミンには特別大きな歓声が送られていた気がします。《Anpanman》でアンパンを渡す振り付けのときに「ジミーン!」と叫んだナムジュンにも泣かされた。BTSが音楽を通して自分たちの思いを表現していることを実感した公演でした。BTSがどういう人たちなのかを知らない人間のくだらない言葉は無視して、直接届けられる音楽とメッセージに集中しよう、と強く思えたので本当に意味のある参戦になったと思います。

四方がふさがった迷路の中 袋小路で
この深淵の中を僕らは歩いているんだ
あのか細い光
楽園に向かって彷徨っていることを心に刻んで

時に嘘は僕らの仲を割こうとするから
試練は僕らを欺こうとする
but そんな時は僕に集中して
闇の中では僕たちだけで十分だ
儚い噓の中 僕らが一緒なら 果てない迷路も楽園

LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’『Love Maze』より

 
大阪公演では、無線制御型のペンライトで夜空に浮かぶ月を客席に描き出してくれたのが素敵でした。「月が綺麗ですね」と言っていたテテ。会場を出た瞬間、本当に大きな満月が浮かんでいて、歓声があがっていたのも良い思い出。

名古屋公演では、ナムジュンが最近覚えた『木漏れ日』という日本語について話してくれたのが印象に残ってます。「この言葉のようにARMYという大きな木を照らし、一つ一つ木の葉の間で煌めく光になりたい」って、本当に詩的でやさしい言葉を話す人だなと感動しました。

福岡公演では、プレゼントだといって『Lemon』をアカペラで披露してくれたジョングク。いろんなことがあった上で、それでも日本のファンを喜ばせるために日本語の曲を覚えてきてくれる、その気持ちが素直に嬉しかった。

みんなその日の公演を特別にするために、その地域のファンに寄り添って全力を尽くしているのが伝わってきて、どの公演も忘れられない思い出になりました。いろんな角度から完璧に揃ったダンスを堪能できたし、ストーリー性のある構成と演出も素晴らしかった。BTSの魅力、多すぎて一言では語れないのですが、その一つに“全員のステージへの情熱とエネルギーの強さ”があります。ちょうど最近読んだパンPDのインタビューで「グループの人選は“音楽への情熱”を絶対条件とした」ということが語られていて深く納得したのですが、それを生で感じられるのはとてつもない喜びでした。コンサートに行くと寿命が伸びるの、わかる。エネルギーが満ち溢れてくるもんな。

 

◆『LOVE YOURSELF』シリーズが教えてくれたこと

BTSの人気に関して、ファンの数の多さはもちろんですが、それよりも注目すべきは一人ひとりの没入度が高いことだと思います。そして、それを叶える理由の一つがコンセプトの一貫性です。

『LOVE YOURSELF』シリーズは、1年4ヶ月をかけて順次発表されたもので、構想期間を含めると2年半にわたると言われています。目先の利益を求めがちなアイドルビジネスで、こんなふうに計画的に長期間をかけてメッセージを発信するのは簡単なことではないし、プロデュース側、アーティスト、ファンの間に信頼関係があってこそ成り立つものだよなと、いつも感心してます。

今回のコンサートのベースになった『LOVE YOURSELF』シリーズの概要は以下のとおり。コンサートも、基本はこのシリーズのストーリーラインに沿う形で構成されています。

■ 2018年4月発表『LOVE YOURSELF 起 ’Wonder’』
 シリーズの序章としてジョングクのソロ曲『Euphoria』を含む短編映像を公開

■ 2017年9月発売『LOVE YOURSELF 承 ‘Her’』/ リード曲『DNA』
 運命の恋に出会った喜びとときめきがテーマ

■ 2018年5月発売『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』/ リード曲『FAKE LOVE』
 愛されるために自分を偽る苦しみ、別れの悲しみがテーマ

■ 2018年8月発売『LOVE YOURSELF 結 ‘Answer’』/ リード曲『IDOL』
 シリーズを総括し、自己愛をテーマにしたリパッケージアルバム

恋や失恋を書いた歌詞にあまり共感できない私たちがBTSの曲に惹かれるのは、彼らが語る“愛”が恋愛に限らないからだよね、という話を身内でよくします。BTSが歌う“愛”は、表面上は恋愛のストーリーと捉えることも、BTSとファンの関係と捉えることもできる内容になっており、このシリーズはアイドルとそのファンとの関係性を問い直して新しいフェーズを迎えるために、その両方が自己を肯定して尊重することを学ぼうというものだと思っています。

『LOVE YOURSELF』以前にBTSが発表したのは、青春をテーマにした『花様年華』シリーズ(2015〜2016年)。その2つのシリーズをつなぐアルバムが『WINGS』です。『WINGS』はヘッセの小説『ダミアン』に着想を得たアルバムで、少年が誘惑と出会い、悪を自らに取り込んで自我を形成していく…といったテーマが展開されます。孤独感や劣等感といった他人には隠しておきたい、とりわけアイドルにとっては見せるべきでないとされるような感情を紐解くことがここから意識されるようになり、負の面も含めた自己肯定がテーマの『LOVE YOURSELF』につながっています。

僕は絶対に仮面を外せない
この仮面の中の僕は君が知っている奴じゃないから
今日もmake up to wake up and dress up to mask on
あなたが愛する僕になるため

あなたが愛する奴になるために
好きだった xxも止めたよ ただあなたのために
嫌いな服も過度なメイクも
あなたの笑顔と幸せがまさに僕の幸せの尺度

こんな僕が こんな僕が
あなたの愛を受け取る資格があるのだろうか
いつもあなたの最高になるために努力する
こんな姿は知らないでいて

LOVE YOURSELF 承 ‘Her’『Her』より

Love you so bad, love you so bad
君のために美しい嘘をつくり出す
Love you so mad, love you so mad
僕を消して君の人形になろうとする

LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’『FAKE LOVE』より

 
『承 ‘Her’』⇒『轉 ‘Tear’』でBTSは誰かを愛することによって生まれる葛藤を歌います。このあたりの歌詞に衝撃を受けたことが、私の沼入りのきっかけの一つでした。BTSが自分たちが被っている仮面について言葉にすることで、これまでアイドルを消費する時に常につきまとっていた居心地の悪さを浮き彫りにされた気がしたからです。アイドルはファンの欲望を受け止めるために仮面を被っている。そしてそれを口にすることは許されない。本当は好きな人たちには望むように生きてほしいのに、自分たちの欲望がそれを妨げているのだとしたら悲しい。そう思っていたから、BTSが“仮面”を語ることに安堵したのかも。ファンとしては目を背けたくなる言葉ですが、彼らを一人の人間として扱うなら、直視しなければいけないことだと思います。

今の社会の中で、愛されるために自分を変えることは特に女性に対して求められがちです。かくいう私も昔は(私を知る人には想像しにくいと思いますが)恋人の求める自分を先回りして作り出すような人間でした。そのためにいくら相手に愛されようと「それは本当の私じゃない」という思いが拭えず、自己肯定感を持てないままだった気がします。だからファンに愛されるために努力し、その中で葛藤を抱えているだろうアイドルという存在にシンパシーを抱くのかもしれません。そして彼らに欲望を向けることに罪悪感を覚えていたのだと思います。中性的な外見の男性アイドルが女性の支持を集めやすいのは、女性の男性性に対する嫌悪・恐怖感をやわらげるからだと思っているのですが、あらゆる面をジャッジされることに耐えているアイドルは、女性にとって共感しやすい存在なのかも…ということを考えました。

後ろ指を差せばいい 俺は全然気にしない
俺を貶すお前の その理由が何であれ
I know what I am(自分が誰かをわかってる)
I know what I want (自分が求めるものをわかってる)
I never gon' change (絶対に変わることはない)
I never gon' trade (絶対に妥協はしない)

LOVE YOURSELF 結 ‘Answer’『IDOL』より

シリーズのクライマックス、全力で自分自身を祝福する曲を持ってきたBTSのかっこよさに震えました。“アイドル”という修飾語はマイナスな意味でつかわれることも多かったと思いますが、それを誇らしい言葉に変えてしまうところがしびれます。

MTVの記事で言及されていたMV分析を読んではっとしたのは「I know what I want 」のところで出てくるSNOWのフィルター風のナムジュン。これはV LIVEの生放送中にフィルターを使ったナムジュンに対してファンが「フィルターを使わないで」とコメントし、「わかった」と応じてしまった出来事に由来しているという分析です。テテの眼鏡も然り。愛されるために自分を諦めることはもうしない、という彼らの意思表示なのだと思いました。

そして韓服や韓国伝統芸能の振り付け、掛け声で自らのルーツを誇るというのが本当に素晴らしい。『LOVE YOURSELF』の物語の中、『起』では海を求めて旅立ち、『承』では恋人という湖に溺れ、『轉』では凍った湖に自分を捨てて、森の中で迷う――という流れが展開されるのですが、最後には求めたものが自分の中にあることを知り、もとの場所に戻ってきたのだと思います。ルーツを大切にしながら、ラストでは多民族を思わせる多様な人たちと一緒に踊るというのが、まさに今のBTSを表現していて本当に大好きな曲です。

▼私がこれまでのBTSのパフォーマンスの中で1,2位を争うほど好きなのが、昨年末のMelon Music Awardsでの『IDOL』。韓国の伝統芸術とのコラボステージ、何度観ても鳥肌がたつくらいかっこいい。


[LIVE full HD] BTS + Intro 'IDOL' Melon Music Awards (MMA 2018)

 

正解はないのかもしれない
きっとこれも答えじゃないんだろう
ただ自分自身を愛すことでさえ
誰かの許しが必要だったんだ

You've shown me I have reasons I should love myself
(自分を愛すべき理由を 君は教えてくれた)
僕の呼吸 僕が辿ってきた道 そのすべてで答えよう

昨日の僕 今日の僕 明日の僕
I’m learning how to love myself
(僕は自分の愛し方を学んでいるところだ)
一つ残らず 余すところなく すべてが僕なんだ

LOVE YOURSELF 結 ‘Answer’『Anser: Love Yourself』より

 シリーズのラストは、国連でのナムジュンのスピーチとリンクする部分の多いこの曲。「あの無数の星を迎えるために 僕は落ちたんだろうか」という歌詞は、星空が見えなくなったナムジュンにファンが星空(ペンライト)を見せて、また自分を愛する方法を教えてくれたことを意味しているのだと、あのスピーチを聴いて思いました。

「あなたのおかげで私は私を愛せた」と大切な人に言われることは何より嬉しいことかもしれません。ファンの愛を受け入れて、それを作品という形で返すBTS。ファンダムとの関係性も含めて素晴らしい人たちだと思います。ただきれいな言葉で説くのではなく、自分の物語を見せることで伝えようとする誠実さ。あんなにも世界中の眼差しを受けながら自分を語りつづけるなんて、途方もない勇気です。BTSの次のテーマは、ナムジュンのスピーチの最後の言葉でもある『SPEAK YOURSELF』。音楽を通してどんなふうに自分たちを表現してくれるのか、楽しみです。


世界中の若者たちへ〜BTS防弾少年団が国連総会で行ったスピーチ /日本ユニセフ協会


”献身的なファンダム”についてよく言及されるBTSですが、彼らが誰も見たことのない世界を切り拓けたのは、ファン一人ひとりの忠誠度の高さと、とてつもないエネルギーのおかげだということを、私自身がその渦の中に入って強く実感しました。英語圏BTSファンは、マイノリティの割合が多いそうです。偏見や差別のある日々に苦しみ、それに対抗したいと願う人にとって、BTSは日々の癒やしや憧れに留まりません。BTSが壁を打ち破っていくこと自体を自分の成功のように感じるのだと思います。私もそうです。メンバー7人だけではなく、大勢が関わってつくりあげるBTSという作品に抱く信頼感。こういうものは、今までの私のエンタメ消費人生にはなかったものでした。

人に対する差別心や先入観を解消するには、個を知ることしかないと思います。BTSが訴える『SPEAK YOURSELF』ってそのためのものでもあるんじゃないでしょうか。疲労感から諦めてしまいたくなることも多いけれど、自分の思ったことを人に伝える努力をしようと最近思うようになりました。

私は歳を取るほどに自分の人生が好きになっているんですが、それは経験を重ねるほどに自分のことをよく知ることができるからだと思ってます。自分は何が好きなのか、何が嫌いなのか、それはなぜなのか、とことん考えて表現することって本当に大切。BTSの活動を通してそれを考えて、人と語れることが、すごく幸せです。語学に対するモチベーションの高まりや、興味の幅の広がりも含めて、自分が前に進めているような感覚になれるのが、BTSのファンをやってて一番うれしく思うこと。

本当に出会えてよかった。毎日が楽しいです。ありがとう。次のアルバムも、スタジアム公演も、とっても楽しみ。